クリプトスポリジウム症 Cryptospiridium
クリプトスポリジウム症は、人や鳥・動物の腸管に寄生する病原体 (原虫) によって引き起こされる病気です。原虫
は動物の体内で長期間生存するオーシスト (卵のようなもの) を形成し、これがクリプトスポリジウム症に感染した人
や鳥・動物の糞便とともに外界へ排泄されます。
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感染経路
オーシストに汚染された水や食品を口にすることでクリプトスポリジウム症に感染します。汚染源の例:
- 未処理水 (川・水路・浅井戸・屋根の雨水など) を飲む。
- 汚染された親水施設 (プール・親水広場など)
- おむつ替えや動物・鳥などの世話をした後の手
- 乳幼児が汚染されたおもちゃや物を口にする。
診断
感染から発症までの潜伏期間は1~12日間 (通常7日間) です。主な症状は水様下痢と腹痛ですが、 食欲低下・体 重減・発熱・悪心・嘔吐などを伴うこともあります。
感染者の中には自覚症状のない人もいますが、その場合でも糞便を通じてオーシストを排出しています。クリプトス ポリジウム症の感染は、検便でオーシストを検出することによって診断します。この検査の手配は医師が行います。
たとえ体調不良を感じなくても、感染者は糞便を通して病原体を排出します。人によってその期間は異なりますが、一般的には感染から数週間と考えられています。
重症度
クリプトスポリジウム症の症状は不快感を伴いますが、重症化や長期化の可能性は低く、1カ月以内に全快します。 但 し、免疫不全症の患者が感染した場合は、重症化や長期化の傾向が見られます。また、クリプトスポリジウム症は再感 染する可能性があります。
感染したら…
感染時の注意点:
- 水分を十分にとる:お子さんの場合は脱水症状に陥りやすいため、この点に特にご注意ください。
- 回復後48時間以内に通学・通勤を再開しない:食品取扱業者、幼稚園・保育園の職員、医療従事者なども含まれます。
- 回復後2週間以内に親水施設 (プール・浴場・じゃぶじゃぶ池など) を利用しない。
- 回復後48時間以内に病院や長期介護施設を訪問しない。
- 石鹸とお湯で手をよく洗う:特にトイレの後など、手を洗ったらきちんと乾かしてください。
- 回復後48時間以内は、できるだけ他者のために調理をしない。
- トイレを定期的に消毒する。
- 専用タオルを使用する:他者と共有しないでください。
- 他者と一緒に入浴しない:感染したお子さんは他の家族が終わってからにしましょう。
腸内感染症の予防
手をよく洗って乾かす:特に以下の際には念入りに
- トイレの後
- おむつ替え
- 調理の前後
- 動物に触れる、動物の糞便処理
- 土壌や堆肥・肥やしの取り扱い
- 豚肉・鶏肉・牛ひき肉の製品は肉汁が透明になるまでよく火を通す。
- そのまま食べられる食品は生肉とは分けて保管・調理する。
- 生肉などの調理後は、まな板や調理器具をよく洗う。
- 野菜 (もやしを含む) やくだものは食べる前に洗う。
- 輸入品の冷凍ベリー類は、食前に熱湯で茹でるか、85°C以上で1分間加熱する。
感染リスクの高い食品:
- (低温殺菌されていない) 生乳および生乳製品
- 加熱が不十分なペーストやレバー製品
- 都市周辺の海岸で採取した貝類
- 未処理水 (川・水路・浅井戸・雨水貯留タンクなど):病原菌や寄生虫を含むことがあります。未処理水を飲まなけ ればならない時 (キャンプや災害時など) は、あらかじめ1分以上沸騰させてください。沸騰させる手段がない場 合は、未処理水1Lに対し無香料の漂白剤5滴 (未処理水10Lの場合は小さじ半分) を加え、30分以上おけば飲料 水として使用できます。
- 大雨後48時間以内に海や川で泳がない。