新型コロナ 抗ウイルス薬 COVID-19 antiviral medicines

新型コロナウイルス感染症 (以下「新型コロナ」) の重症化リスクが高い方には抗ウイルス薬が有効です。抗ウイルス薬とその治療の対象、入手方法に関する情報を以下にまとめました。


抗ウイルス薬による治療対象者

新型コロナの重症化リスクが最も高い方は、状況に応じて抗ウイルス薬による治療を受けられます。抗ウイルス薬は体内のウイルス量を減らして重症化や入院治療が必要になるリスクを抑えます。

次の2項目が該当する方には、公費負担で抗ウイルス薬が配布される場合があります。

  • 新型コロナに感染して発症した、または家庭内接触者として発症したとき
  • 過去5日以内に病気になったとき

要件として、新型コロナが重症化する以下のリスク要因が 1 つ以上当てはまる必要があります。

  • マオリ系またはパシフィカ系で年齢が50歳以上である
  • 上記以外の方で年齢が65歳以上である
  • 新型コロナワクチンの2回目以降の接種を受けておらず、年齢が50歳以上である
  • ダウン症患者である
  • 鎌状赤血球症患者である
  • 過去に新型コロナに感染して救命救急診療または集中治療を受けたことがある
  • 障がい者省が負担する障がい者支援サービスを受けている、またはほとんどの日に家族または外部団体による障がい者介護を必要としている
  • 重篤な基礎疾患が1つ以上あり、虚弱な状態にある

また、新型コロナの重症化につながるハイリスク要因が3つ以上ある方も対象になります。

ご自身またはご家族の方が抗ウイルス薬の治療対象になるかどうかは、かかりつけの医師、医療機関、薬剤師またはマオリ系医療機関 (Hauora provider) にお問い合わせください。

抗ウイルス薬の処方箋は、かかりつけの医師や医療機関、または マオリ系医療機関から入手できます。なお、一部の薬局では、処方箋がない方にも抗ウイルス薬を提供しています。

処方箋不要の薬局 — Healthpoint (external link)

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ハイリスクの基礎疾患 

次の基礎疾患が3つ以上ある方は、その他の条件に該当しなくても、公費負担の抗ウイルス薬の対象になります。

  • 肺または気道の慢性疾患
  • うっ血性心不全、冠動脈疾患、リウマチ性心疾患、先天性心疾患などの重篤な心臓病
  • 管理不良の高血圧症
  • 慢性的な神経疾患または神経筋疾患
  • 糖尿病
  • 慢性腎臓病
  • 肝硬変などの重度の肝臓病
  • 重度の血液疾患
  • 統合失調症・大うつ病性障害・双極性障害・統合失調性感情障害などの重度の精神疾患
  • 活動性がん
  • 病的肥満 (肥満度指数がBMI 35以上)

ニュージーランドを旅行中の方

ニュージーランド政府は、オーストラリアおよびイギリスと相互医療保障協定を締結しています。そのため、オーストラリアの国民と永住者、ならびにイギリス国民は公費負担医療制度の対象になり、その一環として該当者には新型コロナ抗ウイルス薬が公費負担で提供されます。

相互医療保障協定とその補償内容 (external link)

海外旅行をする際は、新型コロナの治療補償を含む旅行保険への加入を強くお勧めします。

新型コロナ検査として迅速抗原検査(RAT)は推奨されています。2024年9月30日まで、旅行中の方を含むニュージーランドにいるすべての人が無料で利用できます。


公費負担の対象条件に該当しない場合

公費負担の抗ウイルス薬の対象にならない方は、かかりつけの医療機関へご相談ください。

市販薬については薬局へお問い合わせください。

公費負担の抗ウイルス薬を受けられない場合、Paxlovidは一部の薬局で個人として購入することができます。

個人として購入するには、かかる医薬品の商業価格の全額のほか、かかりつけの医師や薬剤師との相談など、それを利用するに当たって必要なサービスの費用も支払う必要があります。

ほかにご不明な点があるとき、かかりつけの医療機関に連絡して、選択肢についてご相談ください。


抗ウイルス薬の服用

新型コロナかもしれないと思ったら、5日以内に抗ウイルス薬の服用を始める必要があります。

服用が早ければ早いほど効果が高いことが実証されています。5日目以降に服用を開始した場合、リスクは軽減されません。

抗ウイルス薬は新型コロナ後遺症の治療には効果がありません。


抗ウイルス薬の入手方法

陽性者や家庭内接触者は、抗ウイルス薬の無償配布の対象になるかどうかをかかりつけの医師、医療機関、薬剤師、またはマオリ系医療機関にお問い合わせください。

薬局での入手

多くの薬局では、陽性者や家庭内接触者で、対象条件を満たす方に対し、処方箋がなくても新型コロナの抗ウイルス薬を提供しています。

抗ウイルス薬が適切かどうかを判断するため、薬剤師は健康状態の確認を行います。その時に以下のことを尋ねられます。

  • 現在の体調
  • 既往歴
  • 現在の服用薬 (漢方薬を含む) や受けている治療
  • 妊娠の可能性

公費負担の抗ウイルス薬の対象者には、薬剤師が適正であることを確認したうえで安全な服用法について説明します。最寄りの薬局が抗ウイルス薬を取り扱っていない場合、その周辺の取り扱い薬局を紹介します。Healthpointの公式サイトでも確認できます。

処方箋不要の薬局 — Healthpoint (external link)

次の薬局では処方箋が必要です。

処方箋が必要な薬局 — Healthpoint (external link)

発症前に処方箋を確保しておく

重症化リスクが高い方は、現時点で新型コロナの症状がなくても、事前に処方箋を入手できる場合があります。不調を感じたらすぐに最寄りの薬局で対応してもらえます。

陽性確認後に家族や友人、薬局に抗ウイルス薬を届けてもらえるように手配しておきましょう。

抗ウイルス薬を安全に服用するため、陽性者に対してはかかりつけの医師、医療機関、看護師または薬剤師が問診を行います。

ご自身またはご家族の方が抗ウイルス薬の治療対象になるかどうかは、かかりつけの医師、医療機関、薬剤師、またはマオリ系医療機関にお問い合わせください。また、事前に処方箋をもらっておくべきかどうかも併せてご相談ください。

自宅療養中に抗ウイルス薬を入手する方法

新型コロナに感染したら、たとえ軽症であっても5日間の自宅療養が推奨されています。

抗ウイルス薬の治療対象になる方は、ご家族や友人などに薬を届けてもらえるようにしましょう。一部の薬局では薬の宅配サービスを行っています。


対象者に提供される抗ウイルス薬

新型コロナの初期治療として自宅療養者が抗ウイルス薬を服用できます。これには、次のものが含まれます。

  • ニルマトレルビル含有のリトナビル (製品名:Paxlovid)

Paxlovid (パキロビッド) は、今も新型コロナの重症化リスクが高い方向けの推奨医薬品です。Paxlovidを発症後5日以内に服用すれば、入院治療が必要になるほどの症状悪化を防げます。

Paxlovid

Paxlovid (パキロビッド) は、ニルマトレルビル錠とリトナビル錠という2種類の錠剤を併用するものです。これらの医薬品は体内のウイルスの量を減らします。Paxlovid錠を5日間服用します。

Paxlovidが適しているかどうかは、かかりつけの医療機関が説明します。

Paxlovidの服用に際する留意点などは、Healthifyの公式サイトでご確認ください。

Paxlovid — Healthify (external link)

Paxlovid 服用後の症状の再燃化

一部の人において、Paxlovid服用後に症状が再燃することがあります。これは、Paxlovidリバウンドと呼ばれます。

Paxlovidリバウンドは重症化することがなく、そのほとんどは3日以内に改善が見られる軽症か中等症です。

抗ウイルス薬の服用の有無にかかわらず、いったん回復しても症状が出たり消えたりすることはよくあります。

次の項目が両方当てはまる方は、症状軽快後24時間経過するまで自宅で療養してください。

  • Paxlovidを5日間服用し終わった後で症状が再燃した。
  • 発症初日または陽性確認日から28日以上経過していない。

この間に症状が再発してもPaxlovidをあらためて服用する必要はありません。


抗ウイルス薬の副作用

あらゆる医薬品と同様、Paxlovidにも副作用の可能性はありますが、服用したら必ず起きるというものではありません。

副作用は通常軽度で一時的なものです。また、副作用は薬を飲み終わると治まることが多いです。

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これまでに報告されたPaxlovidの副作用 

発症頻度の高いPaxlovidの副作用

  • 味覚の変化
  • 口の中に金属の味や不快な味がする
  • 吐き気
  • 嘔吐
  • 頭痛
  • 下痢

一部の症例:

  • 筋肉痛
  • 筋肉の圧痛または筋力低下
  • 腹痛

副作用を報告する

副作用が起きたらオンラインで報告できます。

抗ウイルス薬の副作用を報告する—Centre for Adverse Reactions Monitoring(副作用監視センター) (external link)

抗ウイルス薬に対するアレルギー反応

重篤なアレルギー反応はまれにしか見られません。アレルギー体質の方は医療機関にその旨をお伝えください。

アレルギー反応として以下の症状があります。

  • 発疹
  • まぶたや目の周り・顔・唇・舌の腫れやむくみ
  • 胸の圧迫感と呼吸困難

腫れやむくみ、呼吸困難があったとき、直ちに緊急ダイヤル111へ救急通報してください。

それ以外のアレルギー反応については、かかりつけの医療機関またはHealthlineのフリーダイヤル 0800 611 116 へお問い合わせください。


病院で渡される薬剤

新型コロナの治療薬は他にもありますが、それらの使用は入院治療のみに限られます。

これらの薬剤に関する情報は、Healthify公式サイトでご確認ください。 

入院時の新型コロナ治療薬 — Healthify (external link)


抗ウイルス薬の詳細

Pharmac (ニュージーランド医薬品管理局)

Pharmacは医薬品の国内使用を許可する政府機関であり、その公式サイトには詳しい医薬品情報が掲載されています。

Healthify

Healthifyの公式サイトにも新型コロナとその治療薬に関する詳しい情報が掲載されています。